キャチロボバトルコンテスト2013

こんにちは。
2回生のたけもりです。

我々機械研では、内部で5人のチームを結成し9月8日に立命館大学の会場で行われたキャチロボバトルコンテストに参加してきました。

結果は17チーム参加の内、ベスト4に輝き、さらにユニークな発想による機構とそれを実現したことを評価していただき、審査員特別賞をいただきました。

今回の記事ではこのキャチロボに向けた機械研の取り組みについて書きます。

個人の活動とチームの活動を両立させている機械研ですが、チームで参加するロボコンとして昨年までの9年間はレスキューロボットコンテストに出場してきました。
レスキューロボットコンテスト自体はその目的、規模、取り組みにおける技術向上の期待値などといったあらゆる面ですばらしい大会です。
機械研はそこに「キネクトを使ったマスタースレーブ」という非常にユニークな技術の実現に挑戦しながら参加しており、毎年応援の声をいただいていました。
しかしながら、機械研の人数の少なさや活動規模、さらには機械研内でのマンネリ化も否めない現状を考慮し、今年はレスコンへの出場をやめることにしました。少ない人数で3台を完成させるのはなかなか難しいところがあります。
そこで、今年はそのような現状を打開すべく、戦いの舞台をキャチロボに変え、心機一転優勝目指して製作に取り組みました。

キャチロボバトルコンテストのルールは毎回変わります。
今年のテーマはポッキーでした。
フィールドに7列の溝があり、そこに立てられたポッキーを取り運び箱に入れることが競技課題です。
3分間の試合時間内にワーク(ポッキー)に傷をつけることなく箱に入れた個数で勝敗を決めます。
試合において、フィールドには同時に2つのチームのロボットが向かい合って競技を行います。
自分のチームのエリア、相手チームのエリア、さらに共通エリアがあり、共通エリアにおかれたワークは両チームともに獲得することが許されています。
そのため、試合が始まると、まずいかに早く共通エリアのワークを獲得するかの争いになるため、スピードも勝敗を分ける大きな要素となります。

機械研は、かのNHKロボコンも目指していませんし、他の大学に比べて専業化もしておらず、人数も少ない。そして大きなロボットをつくる経験も余りありません。
3回生2人、2回生3人のチームで勝つために、我々が他の強豪に勝ちうる点があるとすれば、それは「発想力」だと思います。
今回は「技術で負けているのだから、まずはアイデアで勝たないと勝てるわけがない」と考え、どのような構造にするかじっくり、じっくり考えました。

さて、4か月かけ、我々が完成させたロボット「取れ太」がこちら。
練習風景を撮影した動画ですので、まだまだ操縦に未熟なところが目立ちます。


どうでしょうか??
我ながらおもしろい機構だと思います。
並列の14このローラーを使い、それぞれがワークを挟み、順番に巻きあげてローラーの上に乗せます。
次にそのローラーの上を転がしてシューティングボックスまで運ぶ。
ローラーという一つの機構で、ワークの取得運搬箱入れまでの動作を全てこなします。
このアイデアはたくさんの方に評価していただき、審査員特別賞をいただくことになりました。

ここで、このアイデアを採用するに至った経緯を説明しましょう。
このアイデアを出したのは僕なのですが、ただ舞い降りてきたアイデアというわけではありません。
そもそもキャチロボバトルコンテストというのは、産業機械に関係するロボットを製作している京都製作所がスポンサーとなり、「機械は人間の手を越えられるか」というテーマのもと、身近な商品を扱うことが背景にあります。
つまり、我々がキャチロボで目指す究極形は実際に工場で動いている産業ロボットなのではないかと考えました。
工場と聞いてイメージするのがベルトコンベアーです。
大きなアームを動かすことなく、上に乗っけたワークだけを動かす方が効率は良さそうです。
そのような着眼をもとに考えられたのがこのアイデアです。
ローラーを長くすればそれだけ前後方向の移動精度が悪くても許容することができます。
ローラーのスポンジを分厚くすればそれだけワークを挟む時のバラつきが許容されます。
さらに、他のチームに見られた、上からワークを挟む機構と違い、横からでもワークを挟みに行けるため、共通エリアにおいて相手のアームの下をかいくぐることもでき得る構造です。
このように、ただユニークなだけでなく様々なメリットを持った機構だったのです。
我々のものづくりの精度は他チームに比べて決していいとは言えないでしょうし、剛性も劣るためたわみによる変形も大きいです。今回はそこに目をつぶらず、精度が足りないのならそもそもそれを許容できるような機構を発想の力で実現することができたと言えるでしょう。

しかしこの機構には問題もあります。
それぞれのローラーを別々に動かす必要があるので、ローラーには各ペアに一つモーターがついています。
ペアの内ひとつのローラーはモーターつき、もう一つのローラーは自由回転です。
定石では先端に行くほど軽く作るべきであるロボットですが、取れ太の先端には重いモーターが7つも。
その結果、たわみの問題や、8.5kgの重量制限との戦いがおこりました。
重量制限をクリアするために、我々はアルミ材にとらわれずに必要な強度に応じて木材を多用しました。
さらに機械班の努力と工夫で部品の数を減らしたり、ネジの削減、配線の最小化も行いました。

最初からうまく行くはずがないことは重々承知、今回はスケジュール管理も整え、最初の完成締め切りはロボットをまるまるつくりなおすことができるくらいの時期に決めました。
そして実際にほぼまるまるつくりなおしました。

その後も様々な小さな問題がつぎつぎに発現したものの、大会前1週間のBurnning期間でそれらを次々に克服。
特にラスト3日の追い込みによって、それまで5分かかって21個中12個ほどしかワークを獲得できなかったのが、3分間で18個ものワークを獲得できるようになりました。
結局作業は大会当日の午前4時30分にまで及びました...。

大会では特に危なげもなく1回戦、2回戦を突破。
一回戦ではワークに傷をつけてしまい減点を受けてしましましたが、巻きあげのやり方に問題があることが原因だとわかったため、操縦の仕方を工夫して克服することができました。
我々は他のチームと違い、自作した練習用のフィールドまで会場に持って行ったため、テストラン以外でも練習することができたことは今回の成果の大きな要因の一つでしょう。

続く準決勝、相手は強豪京都工芸繊維大学の2回生チームです。
ところが両チームトラブル発生、ロボットが動かず。
両チームともがそのような状態のため、セッティングタイムが延長されるなどの対応がされ、「先に動いた方が勝ち」といった状態になりました。
我々はモーターがどれも動かず、電源を確認するためのLEDの光が弱くなっていたため、回路に問題があると考えました。
予備の配線ケーブルとの交換なんかを試みる間に、別のメンバーははんだごてを温めに行きます。
2回目に延長されたセッティングタイムにおいては、なんと延長コードを駆使してセッティングエリアにまではんだごてを伸ばし、試合会場のど真ん中ではんだづけを行う始末...。
結局のところ、京都工芸繊維大学のロボットが動き、我々は準決勝で敗れることになりました。
その後判明した原因として、もしやバッテリーを間違えていたのでは...。古いバッテリーを入れてしまったのでは...。という恐ろしいことが判明。
控え場所であるピットにて「取れ太」は息を吹き返しました。
試合前のチェックリストには書いていた基本の確認ですが、ここは経験の浅さが出ました。
電源の状態もマイコンで確認してお必要がありました。
もしあそこで動いていたら、と思うと悔しいですが、勝負は勝負。
お互いに万全の状態だったならまず負けていた相手でしたし、ベスト4は今回の出来に妥当な結果だったかもしれません。

ベスト4は従来の機械研にとってかなりの好成績、さらには審査員特別賞もいただきました。
また、見に来ていた人や他の大学の方々にも褒めていただき、負けた悔しさを大きく上回るほどの貴重な経験をすることができ、メンバー一同満足です。

今回のキャチロボを通して、チームとして大きく成長することができました。
また、ロボット作りのおもしろさをあらためて実感した大会でもあります。
たくさんのアドバイスをいただき応援してくださったOB,OGのみなさん、機体の運搬に協力してくださった保護者の方、また大会の運営の方々、本当にありがとうございました。
みなさま、これからも機械研をよろしくお願いいたします。

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